住民発議による住民投票 & 無条件ベーシックインカム

CHダグラス『社会信用論』翻訳者・上岡みおが世界の賢人に学んだことをつづるブログ

欧州中央銀行(ECB)への意見書 公債の債権を放棄せよ

f:id:detox-advisor:20210717092721p:plain


2021年2月7日、ヨーロッパの主要紙に、

”Cancel the public debt held by the ECB and “take back control” of our destiny”
(欧州中央銀行(ECB)が保有する公債を無効化しよう 我々の運命の支配権を取り戻すために)

と題された意見書が掲載されました。

この意見書は、ヨーロッパで活躍する著明な経済学者、政治家、公務員、市民活動家らがとりまとめ、連名で発表したものです。

この意見書の主旨は、

・欧州中央銀行(ECB)に、保有している公債を放棄させる

・EU加盟国国民の税負担を減らす

・EUに、自らの支配権を取り戻させる

・環境に配慮した社会を再建させよう

というものです。

 

原文はこちら

 

【欧州中央銀行(ECB)への意見書】日本語訳

 

欧州中央銀行(ECB)が保有する公債を無効化しよう

我々の運命の支配権を取り戻すために


欧州中央銀行(ECB)が保有する公債の無効化に関する議論は、フランスだけでなく、イタリア、ルクセンブルグ、ベルギー、ヨーロッパの組織へのロビー活動、欧州中央銀行の総裁、ユーロ加盟国の財務大臣らに大きな衝撃を与えました。

 

これは、健全かつ有用な議論です。金融問題が国民的議論の的となったは久方ぶりのことです。

中央銀行は、政治的権力からは独立していますが、金融市場に依存しています。お金を中央銀行まかせにするという集団的了解から離脱できれば、お金は、抽象的概念ではなくなります。

人々は、欧州中央銀行(ECB)が、ヨーロッパの公債の25%近くを保有していることに気づき始めています。

 

我々は、公債の25%を、我々自身に返済していかねばなりません。返済方法は、投資ではなく借金転がしにすぎない「借換債」を発行するか、増税するか、財政支出を削減するか、のいずれかになるとされてきました。

しかし、この他にも、返済方法はあります。

様々な国から集まった、我々経済学者、関係者、この問題に関心のある市民らは、その返済方法について知ってもらうことを使命としています。

実は、欧州中央銀行(ECB)は、今のヨーロッパ諸国に対して、環境を害さない経済回復手段を、即時提供することができます。そうすれば、新型コロナウイルスによって健康が脅かされている間に深刻化している、社会的・経済的・文化的危機を回復させられます。

これは、各国が何もしなかったという議論ではありません。(新型コロナ経済危機への)保護的措置策は、確かに実施されました。しかし、全体としては、十分とはいえないところにとどまっています。

ヨーロッパの復興計画は、3年間でわずか3000億ユーロを拠出するにすぎません。これは、欧州議会が要求した2兆ユーロには遠く及びません。

健康危機以前の2018年、欧州会計監査院は、ヨーロッパで環境に配慮した社会政策をすすめるには、毎年最低でも3000〜4000億ユーロの追加投資が必要だと主張していたことを思い出してください。

健康危機の勃発によって、この回復計画は、目標からはほど遠い状態へと後退しています。

我々は、公債/国債を無効化すること、欧州中央銀行(ECB)が保有している公債を無効化することを重くとらえています。公債を無効化することが、転換点になることを熟知しています。

1953年のロンドン会議において、国債の3分の2を免除されたドイツは、EU内部での将来のためにしっかりとした下地作りをしながら、もう一度繁栄する道を見いだしていきました。

問題の核心は、現在のヨーロッパが、ロンドン会議当時のような途方もない危機に瀕しているのではないか、ロンドン会議当時と同じような超法規的措置(extraordinary measures)を必要としているのではないか、という点です。

我々はもちろん、今のヨーロッパが、ロンドン会議当時に匹敵する危機に瀕していることを確信しています。

幸いなことに、我々の債権者は、お金を失うことを恐れる必要のない、欧州中央銀行(ECB)です。したがって、解決策は単純なものになります。

 

ヨーロッパ諸国と欧州中央銀行(ECB)との間で契約を結ばせます。欧州中央銀行(ECB)には、保有しているする公債を放棄(あるいは無利子の永久債に転換)してもらいます。

そしてヨーロッパ諸国には、欧州中央銀行(ECB)が放棄した公債と同額の資金をもとに、社会と環境の再建計画を実行してもらうのです。

欧州中央銀行(ECB)が保有する公債残高は現在、ヨーロッパ全体で、およそ2.5兆ユーロにのぼります。最終的に欧州議会の期待に応えるためにも、何にもまして、一般の利益を守るためにも十分な金額です。

欧州中央銀行(ECB)には、我々の提案を実行する能力があります。

非常に多くの経済学者が、そして我々の提案に反対する人々でさえも、中央銀行が、何の問題もなく、負の資本に対応できることを知っています。

債権放棄にともなう損失は、お金を印刷すれば補えるのですから。

このことは「欧州連合の機能に関する条約 付属議定書第4号(the Protocol 4 annexed to the Treaty on the Functioning of the European Union)」に明記されています。

我々の提案は、欧州中央銀行(ECB)を含む一部の機関の長らの主張とは合致しませんが、法律にのっとっています。

ヨーロッパの条約は、欧州中央銀行(ECB)が自ら保有する公債を放棄することを、はっきりと禁止してはいないのです。

その一方で、世界中の、いかなる金融機関も、債務を帳消しにすることができます。欧州中央銀行(ECB)にも、そのルールが適用されます。

しかし、「無効化(cancellation)」は、条約にも欧州中央銀行制度(ESCB)の議定書にも使われていない言葉です。

このことは「条約の精神に反する」と解釈される可能性があります。

しかし、マリオ・ドラギが導入し、今は広く受け入れられている「量的緩和(QE)」も、かつてはそのように解釈されていました。

法的誤謬に惑わされるべきではありません。最終的には、政治的意志の問題なのですから。

断固たる政治的取り決めの前には、ささいな法的問題など消し飛んでしまうことは、歴史が証明しています。

ハッキリさせておこうではありませんか。

大規模な再投資が条件だったとしても、欧州中央銀行(ECB)が保有する公債を無効化することによっては、ユーロ圏にとって最も重要な経済政策を実現できないし、させるべきでもありません。

第一に、欧州中央銀行(ECB)は、各国政府の財政的裁量権を自由化するための介入はしますが、自行(ECB)に投資することはありません。

マイナス金利が始まった2015年から健康危機にかけて、EUの公債残高は継続的に減少しました。低金利またはマイナス金利は、各国が投資のために公債発行する原動力にはならなかったのです。これは予想に反していました。

多くの国々が、マイナス金利にも関わらず、投資のために借り入れする代わりにレバレッジ解消(投資家が企業の株を売却して資金を回収すること)を進めたのです。この流れは止められません。

欧州中央銀行(ECB)と各国との間で協定を結べば、各国は、責任を回避しにくくなるでしょう。

しかし、これだけでは不十分です。債務と赤字の基準改革から環境保護と社会福祉にいたるまで、不平等を是正する税制改革、公共投資銀行によって悪化要因の芽を摘み取れるようにする、国家を救済するルールを改正する、などの対策を講じていかねばなりません。

新しいヨーロッパの統治を、特に税務問題においては特定多数決への移行によって、実施せねばなりません。

 

特定多数決/(QMV:Qualified Majority Voting)

欧州連合理事会において、2014年10月まで、一部の議案に適用されていた表決手続き。各加盟国に人口に応じて票数を割り当て、全352票のうち260票以上が支持、構成国の過半数が支持、支持国全体の人口が全EU人口の62パーセント以上の三つの条件を満たす場合に可決とする。

各国の持ち票数は、例えば、ドイツ・フランスなどが29票、ギリシャ・ポルトガルなどが12票、ラトビア・キプロスなどが4票というように、中小国に不利にならないように重みづけがされていた。

[補説]2014年11月から、二重多数決(構成国の票数の55パーセント以上が支持、かつ支持国全体の人口が全EU人口の65パーセント以上の場合可決)に移行した。

出典 小学館デジタル大辞泉

 

もはやヨーロッパには、自ら進んで組織ぐるみの妨害を受けている余裕はありません。

中国、日本、米国など、世界の国々は、金融政策を最大限に活用して、財政政策を支えています。

日本銀行は、お金を作りだせるという権能を利用して、上場投資信託(ETF)を通して市場から直接的に株式を購入し、国内最大の機関投資家になっています。

我々も、民主的な管理のもとで、欧州中央銀行(ECB)のお金を作りだせるという権能を利用して、環境に配慮した社会を再建するための財源確保を考えていかねばなりません。

欧州中央銀行(ECB)に、国家による投資と引き換えに、保有する公債を放棄させることは、EUは自らの運命の支配権を取り戻そうとしていることを知らしめる、最初の強烈な合図となるでしょう。

 

***

 

イニシエーター


ニコラス・デュフレーヌ:上級公務員、ルソー研究所所長
ローレンス・シャロム:パリ・ナンテール大学教授 EconomiX
Jézabel Couppey-Soubeyran:パリ大学 I-Panthéon-Sorbonne講師
Baptiste Bridonneau:パリ-ナンテール大学博士課程の学生 EconomiX
ガエル・ジロー:CNRSの研究ディレクター ルソー研究所の名誉会長
Aurore Lalucq:経済学者

 

f:id:detox-advisor:20210717094142p:plain

上級公務員。制度的および金銭的問題と公的資金調達ツールの専門家。ルソー研究所所長。『生態学的通貨』(2020)著者(アラン・グランジャンとの共著)

 

f:id:detox-advisor:20210717094957p:plain

f:id:detox-advisor:20210717095725p:plain




          


連名者リスト
#フランス #イタリア #ドイツ #アイルランド #ベルギー #スペイン #ルクセンブルク #スイス #スウェーデン #ポルトガル #ギリシャ #イングランド #ハンガリー


◆フランス
アデリーヌ・バルダッチーノ:エッセイスト 上級公務員
イヴ・ブザンソン:経済学者 経済社会科学教授 国立統計経済研究所(Insee)の元アタッシェ。
JérômeBlanc:Po Lyon科学教授
ニコラス・ブーロー:エコール・デ・ポン・パリテック名誉教授 金融市場のスペシャリスト
マシュー・キャロン:オー・ド・フランス工科大学上級講師
ミシェル・クリネッツ:名誉委員-保険の管理者
VéroniqueDanet:銀行エグゼクティブ
ルドヴィッチ・デスメット:ルゴーニュ大学教授
GillesDufrénot:エクスマルセイユ大学教授 CEPII助手
デニス・デュプレ:グルノーブル・アルペス大学の教師研究者。
ギヨーム・デュバル:元経済ジャーナリスト
エティエンヌスペイン:エコノミスト
マリー・フェア、リュミエール:リヨン2大学講師
ジャン・ガドレ:エコノミスト リール-I大学の元教授
Ezzedine Ghlamallah:起業家 経営科学
デビッド・ギルボー:政府高官
Jean-Marie Harribey:ボルドーIV大学の講師 Attacの共同代表
Luc Jacob:広報コインと新しい理論
ピカルディ大学教授:エスター・ジェファーズ
ピエール・カルファ:コペルニック財団
エコノミスト、ルソー研究所の科学評議会のメンバーであるアノ・クハナサン。
ValérieLafargue、MonnaieDettesの広報担当者。
Thomas Lagoarde-Segot、エコノミスト、KEDGE BS&、SDSNフランス;
Anice Lajnef、元金融家、起業家。
GaétanLeQuang:リヨン大学2講師
キャロライン・レケスネ・ロス:ニース・ソフィア・アンチポリス大学講師
ドミニク・メダ、パリ・ドフィーヌ:PSL大学教授、社会科学研究所所長
ジャック・ミラーリー:EMノルマンディー教授
フランソワ・モーリン:トゥールーズ大学名誉教授 元BDF総評議会のメンバー
OlivierPasset:Xerfiグループ 合成ディレクター
トマ・ピケティ:EHESSの研究ディレクター パリ経済大学教授
ドミニク・プリオン:ソルボンヌパリノール大学教授 愕然としたエコノミストのメンバー
ジャンフランソワポンソ:グルノーブルアルペス大学教授
ポアティエ大学の講師:マーク・プールロイ
クリストフ・レヴェリ:ケッジビジネススクール教授
キャサリンサマリ:パリドフィーヌ大学元講師 アタック科学評議会メンバー
パトリック・サウリン:サウスソリデアズBPCE労働組合員
クロード・シモン:ESCP名誉教授
Yamina Tadjeddine:ロレーヌ大学ベータ学部教授
BrunoThéret:社会経済学の学際的研究研究所(IRIS:パリ-IX-ドーフィン大学)の研究ディレクター 
Ariane Tichit:オーヴェルニュ大学の講師
アンドレ・ティラン:リヨン大学2教授 
ジェローム・トロティニョン:リヨン大学3の講師 
クリスチャン・ワンデブルック:ルソー研究所の経済学者および研究者 
オリアーネ・ウェグナー :金融規制の専門家 ルソー研究所会員
Jean-Claude Werrebrouck:リール大学2の名誉教授 

◆イタリア
ニコラ・アコセラ:ローマ・ラ・サピエンツァ大学名誉教授 
Piergiorgio Ardeni:ボローニャ大学教授
レオナルド・ベッケッティ:ローマ・トルヴェルガタ大学教授 
ファビオ・バートン:トリノ大学教授 
マリア・ルイーザ・ビアンコ:グリ・ストゥディ・デル・ピエモンテ・オリエンターレ大学教授 
イネス・チョリ:ローマのサピエンツァ大学准教授 
ブルーノ・コンティーニ:トリノ大学名誉教授 
テレンツィオ・コッツィ:トリノ大学名誉教授 
Claudio de Fiores:Universitàdeglistudi della Campania Luigi Vanvitelli
Lia Fubini:トリノ大学経済学および政治学の教育(年金) 
Mauro Gallegati:politecnica delleMarche大学教授 
Enrico Grazzini:経済学者および著者 
アンナリタゲルマニ:エコノミスト:ローマラサピエンツァ大学教授 
ウゴマラニ:ナポリフェデリコ2世大学教授 
エドモンド・モスタッチ :ジェノヴァ大学教授
Guido Ortona:ピエモンテオリエンターレ大学名誉教授 
リカルド・レアルフォンゾ:サンニオ大学教授
Fiammetta Salmoni:ローマのUniversity degli Studi GuglielmoMarconi教授 
アレッサンドロソンマ:ローマラサピエンツァ大学教授 
マリオ・ティベリ:ローマ・ラ・サピエンツァ大学の経済学者兼教授 
アントネッラ・トロペアーノ :マチェラータ大学教授:
ジョバンニ・ヴァッジ:パヴィア大学教授 

◆ドイツ
ThomasDürmeier:エコノミスト エコノミストのネットワーク Netzwerkplurale Ökonomieの共同創設者
ヨーゼフ・フーバー:経済学者 マルティン・ルター大学 ハレ・ヴィッテンベルクの経済および環境社会学の議長
Roland Kulke:エコノミスト:ヨーロッパ変革のアドバイザー
オリバー・シュラウト:ハイデルベルク大学哲学部講師-研究者
マイケル・テルマン:ドイツの公共開発銀行の元取締役
アクセル・トロースト:エコノミスト ローザ・ルクセンブルグ財団社会分析研究所の顧問
Peter Wahl:AttacGermanyの科学評議会のメンバー 

◆アイルランド
Ciaran MacanBhaird:ダブリンシティ大学教授
ブライアンルーシー:ダブリンのトリニティカレッジの教授
サミュエル・ヴィーニュ:ダブリンのトリニティカレッジの教授
レイ・ウォルシュ:ICT標準に関する欧州観測所(EUOS)の所長 ダブリンシティ大学教授 

◆ベルギー
OlivierBonfond:CADTMベルギーの共同社長 CEPAGのエコノミスト
フィリップ・デファイト:エコノミスト:持続可能な開発研究所(IDD)の所長
フランソワ・デヌイ:政治学および社会科学の医師:ブリュッセル自由大学の科学協力者
Xavier Dupret:エコノミスト Joseph Jacquemotte Foundation
パトリック・デュプリエズ:政治生態学の研究センター・エトピア社長
ニコラス・フランカ:エコノミスト
キム・フレデリク-エヴァンジェリスタ:経済学者
ポール・マニェット:政治学教授:元エネルギー・気候大臣
アンドレ・ピーターズ:お金の社会学者
オリビエ・デ・シュッター:国連特別報告者 ルーヴァン大学(UCLouvain)の法学の学際的研究研究所の教授
ジャン=フランソワ・タメッリニ:ワロンFGTBの事務局長
エリックトゥーサン:リエージュ大学とパリ第8大学の医師 違法債務廃止委員会(CADTM)のスポークスマン

◆スペイン
ダニエル・アルバラシン・サンチェス:エコノミスト アンダルシア会計会議所の顧問 
フアン・フランシスコ・アルバート:バレンシア大学の訓練の私立探偵 
ナチョ・アルバレス:エコノミスト:スペイン政府の社会的権利国務長官 
イニャキ・アルト:バスク気候変動センター研究教授 
Lorena Cabrerizo:エコノミスタ
Oscar Carpintero:Profesor de Economia Aplicada, Universidad de Valladolid
マヌエル・エスクデロ:LSEの博士号およびOECDのデサロロ代表 
Jorge Fabra Utray:エコノミスタ Doctor en Derecho es Presidente de Economistas Frente a la Crisis
ソニア・ファレ:元-国会議員 国会議員の専門家 
Eladio Febrero:カスティーリャラマンチャ大学 TeoríaEconómicaのTitular教授 
アントニオ・ゴンザレス:スペイン政府事務局長(2006-2008)セグンド・デ・エコノミスタス・フレンテ・アラ・クライシス副社長 
Carles Manera:Catedráticodela universidad de Islas Baleares,miembro de EFC
AgustínJoséMenéndez:Universidad Complutense マドリード
JoséMoisésMartínCarretero:エコノミスタ コンサルタント 
Cristina Monge Lasierra:生態学的移行のためのガバナンスの政治学者 
Cristina Narbona:エコノミスタ 「Economistas Frente alaCrisis」のJuntaDirectivaのボーカリスト 
Carlos Ochando:PolíticaEconómica教授 Universidad de Valencia, Másteren PolíticaE conómicay Economia Pública ディレクター 
Isabel M. Pajares:エコノミスタ
マヌエルガリラモス:エコノミスト UPMマドリード
Jordi Roca Jusmet:バルセロナ大学
フェルナンド・ロドリゴ:社会学者:Junta Directiva de EF Cydela Fundación Transición Verdeのミエンブロ 
ジョルディセビリア:エコノミスタ
フアン・トーレス・ロペス:セビリア大学 Catedrático de Economía Aplicada;
ホルヘ・ウクソ:カスティーリャ・ラ・マンチャ大学 マクロ経済学教授 

◆ルクセンブルク
Serge Allegrezza:経済学者 上級公務員 
Muriel Bouchet:エコノミスト 
ヴィンセントハイン:経済学者
StéphanieRavat:CGFPおよびCHFEP
ミシェル・エドゥアール・ルーベン:経済学者

◆スイス
クリスチャン・アーンスパーガー:ローザンヌ大学教授 
SolèneMorvant-Roux:ジュネーブ大学の助教授 Zoein財団の科学評議会のメンバー 
セルジオロッシ:フリブール大学教授 
ローザンヌ大学教授:ピエール・ド・サンファル 
ジャン・ミシェル・サーベット:国際開発研究大学院教授 

◆スウェーデン
Rachelle Belinga:ドリュー大学助教授 

◆ポルトガル
フランシスコ・ルーサ:リスボン工科大学のエコノミスト 

◆ギリシャ
Costas Lapavitsas:ロンドンのSOASのエコノミスト 
ニコラオス・テオドッシオウ:テッサロニキ大学アリストテレス教授 SDSN黒海議長 

◆イングランド
スティーブキーン:ロンドンのキングストン大学の教授 

◆ハンガリー
Andor Laszlo:元欧州委員:経済学者

 

 

【原文】

Cancel the public debt held by the ECB and “take back control” of our destiny.


The debate about the write-off of debts held by the ECB has recently gained momentum in France, but also in Italy, Luxembourg, Belgium and in the hallways of European institutions, up to representatives of the ECB itself, as well as finance ministries of the Eurozone.

This a useful and healthy debate. For the first time in a while, monetary issues have come back centre stage in the public debate. Money stops being this abstract construct withdrawn from collective deliberation and entrusted to a central bank independent from political power, yet dependent on financial markets. Citizens are discovering, some with much shock, that about 25% of the European debt is now held by their own central bank. In other words, we owe ourselves 25% of our debt and, if we are to reimburse that amount, we must find it elsewhere, either by borrowing it again to “roll the debt” instead of borrowing to invest, or by raising taxes, or by cutting expenses.

There would however be another solution. As economists, stakeholders and concerned citizens of various countries, it is our duty to point to the fact the ECB could immediately give European nations the means of their green recovery, but also heal the severe social, cultural and economic damages undergone by our societies during the devastating covid-19 health crisis.

Our argument is not that states stood pat: protective measures were indeed implemented. However, they have remained largely insufficient. The European recovery plan, based on barely 300 billion euros of subsidies over three years, is far from the 2 trillion requested by the European Parliament. Need it be reminded that before the health crisis, the European Court of Auditors already pointed to a minimum of 300 to 400 billion in additional investments every year to finance the ecological transition in Europe? This recovery plan misses the mark by a lot and even more so following the pandemic.

Yet, we do not take the cancellation of public debts – even debts held by the ECB – lightly. We are well aware that debt cancellation events are foundational moments. It was for example the case at the London Conference in 1953, when Germany benefited from a two-thirds forgiveness of its public debt, allowing it to find its way back to prosperity while firmly grounding its future inside the European Union. Thus, the real question is whether the European Union is going through such extraordinary times that would in turn call for extraordinary measures. We believe these are extraordinary times.

Fortunately, our main creditor is one that does not fear losing its money: the European Central Bank. Our solution is therefore simple: let’s make a deal between the European states and the ECB. Let her cancel the debts that she holds (or transform them into perpetual debts with 0% interest rate) and let the European states commit for the same amount to a widespread social and ecological recovery plan. These amounts currently add up to almost 2.5 trillion euros, enough to finally meet the expectations of the European Parliament and, above all, to safeguard the common good.

The ECB can without a doubt afford it. As many economists already recognize, even among those who oppose this solution, a central bank can operate with negative capital without difficulty. She can even print money to compensate for these losses: this is provided for by the Protocol 4 annexed to the Treaty on the Functioning of the European Union. Thus, in full compliance with the law and contrary to what some heads of institutions – including the ECB – claim, cancellation is not explicitly prohibited by European treaties. On the one hand, any financial institution in the world can write off its debts, and the ECB is no exception to that rule. On the other hand, the word “cancellation” does not appear neither in the treaty nor in the protocol on the European System of Central Banks (ESCB). It could perhaps be construed as “contrary to the spirit of the treaty”. But was it not also the case with the now well accepted Quantitative Easing put in place by Mario Draghi? Let us not be distracted by legal fallacies: in the end, only political will matters. And history has shown countless times that petty legal issues fade away in front of robust political deals.

Ultimately, let us be clear: it is obvious that the cancellation of public debts held by the ECB, even when conditioned on massive reinvestments, should not and cannot be the be-all and end-all of all economic policy in the Eurozone. First, the ECB would only intervene to free up fiscal leeway for governments and thus would not invest herself. The continuous reduction in the level of average public debt in the European Union between 2015, the date of the onset of negative rates, and the onset of the health crisis, shows that, contrary to expectations, weak or even negative rates are not sufficient to push states to borrow to invest. As a matter of fact, many states have deleveraged instead of borrowing to invest, despite negative rates. Why would this change now? The deal struck between the states and the ECB would prevent the states from evading their duties. But this is not merely enough: other measures should be implemented, ranging from the reform of debt and deficit criteria to green and social welfare-oriented protectionism, from tax reforms aiming to reduce levels of inequalities and change behaviours to clear impulses in the domain of public investment banks and reforms to the state aid rules. A new European governance, in particular through the transition to qualified majority voting in tax matters, must also be implemented.

The European Union can no longer afford to be systematically impeded by its own rules. Other states in the world, such as China, Japan and the USA, are using their monetary policy tool to its full extent, i.e. in support of their fiscal policy. The Bank of Japan even goes as far as to use her discretionary money-making power to buy stocks directly from the market through listed index funds (ETFs), thus becoming the country's largest investor. We too must think about using the money-making power of the ECB to finance ecological and social reconstruction, under democratic control. The cancellation of the public debts it holds, in exchange for investments by the States, would constitute a first strong signal of the European Union's willingness to take back control of her destiny.