無条件ベーシックインカムとは
「作っても売っても働いてもビンボーになる理由」 で説明したとおり、ほとんどの人には十分な「購買力」がないうえに、わずかな「購買力」も、税金を徴収されることで、さらに弱められています。
資本主義をより良く機能させるには、一人ひとりの「購買力」を高めることが必要です。それには、一人ひとりに現金を配ることがもっとも効率的です。
一人ひとりに、現金を定期支給するシステムを「ベーシックインカム(BI)」といいます。
ベーシックインカム(BI)の基本理念(BIENの定義)は
・現金を
・無審査無条件で
・個人に
・定期支給する
ことです。世界最大のベーシックインカム学会BIEN(Basic Income Earth Network)が、30年以上かけて導き出した定義です。
国民負担ゼロ・増税不要の「政府貨幣」をベーシックインカム(BI)の財源に!
ベーシックインカムの財源を、政府が発行する国民負担ゼロのお金「政府貨幣」にすることが、ベーシックインカムを導入する際に「死守すべきポイント」です。
現在、ベーシックインカム推進派の99%は、税金を財源とするBI案を支持しています。その多くは、所得税や消費税を増税してBI財源にあてるというものです。
財源を税金とするベーシックインカムは、増税と福祉カットがセットになった少額支給に留まる可能性が高いです。
税金を財源とするベーシックインカムは、誰も幸せにしません。
これに対して、
・福祉カットも増税もせず
・国民負担を増やすことなく
・全ての国民に十分な額の現金を支給できる
のが、政府貨幣を財源とするベーシックインカムです。
日本政府には「貨幣発行権」があります。これを発動させてベーシックインカムの財源とすることは、十分に可能です。
ただし、現行の法律では、政府は6種類の硬貨しか発行できないため、多少の修正が必要です。この修正ができるのは、立法権がある国会議員だけです。
具体的には、内閣が「政令」を作れば、6種類の硬貨以外の「貨幣」例えば1万円硬貨などを発行することができます。
政府貨幣によるベーシックインカムならば、税収に左右されることなく、まともな生活をするために必要なだけのお金を、すべての国民に支給し続けることが可能です。
ベーシックインカムとして毎月20万円配る場合の年間予算は、
20万円 × 1.27億人 × 12ヵ月 = 304.8兆円 です。
日本の紙幣と硬貨/通貨と貨幣
「政府が発行するお金」について理解するために、日本の紙幣と硬貨について説明します。
日本円のうち、紙幣は日本銀行という上場企業が発行しています。紙幣には「日本銀行券」と印刷されています。
硬貨は、財務省が発行しており「日本国」と刻印されています。
硬貨は「政府貨幣」ですが、紙幣は「日本銀行券」です。
1万円札の原価は20円くらいだそうです。それでも「日本銀行券」が1万円の価値を持ち得るのは、「国家の信用」があるからです。
貨幣発行権
日本の「通貨と貨幣」について定めた「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」の第四条には「貨幣の製造及び発行の権能は、政府に属する」と明記されています。
日本政府には貨幣を発行する権利「貨幣発行権」があるのです。
同法の第六条には「貨幣の素材、品位、量目及び形式は、政令で定める。」とあります。
日本政府は、政令で定めさえすれば、すでに発行している硬貨だけでなく、紙幣やデジタル数字を発行することができるのです。
ベーシックインカムを口座振り込みにする場合、振込手数料と多少の人件費以外にかかるお金はほとんどありません。政策として非常に安上がりです。
返さなくてもよいお金を返しているから苦しくなる
政府には「貨幣発行権」があるのですから、税金など徴収せず、自ら発行したお金を、行政サービスや公共事業の財源とすることができます。
それなのに、税金を徴収し、不足分は国債を発行して、大口投資家に買わせ、その元利金を税金から償還するという制度をとっています。
平成29年度は、歳出240.5兆円のうち、その4割にあたる90.3兆円が借金返済(国債費)にあてられています。
60年償還ルール・借換債・超低金利によって、国債の国民負担がゼロに近いと錯覚してしまいがちですが、国債の元利金は、最終的には税金から支払われます。
作らなくてもよい借金(国債)を作り、その元利金支払いを国民に負担させているのですから、国民が日に日に困窮していくのも当然です。
現行システムの欠陥を補う制度
国債制度にも税金制度にも問題ありありですが、システムを総とっかえすると混乱がおき、困窮者が発生する恐れが高いです。
国債制度や税金制度を廃止したとしても、負け組を増やし続けるシステム「資本主義」の問題からは逃れられません。
「政府貨幣によるベーシックインカム」は、政府がお金を発行して定期支給するだけのシンプルな制度ですが、現行システムを温存したまま、現行システムの欠点を補えるところが、非常に優れています。
月額20万円支給できれば、一人ひとりの購買能力・返済能力が向上するので、経済活動すべてが活性化され、税収ものびます。
事業資金・住宅ローン・自動車ローン・教育ローンなどを借りている人が多いので、月額20万円が支給されても、すぐに仕事を辞める人は少ないと思われますが、ローン返済が進んでいくいと、一息つける人が増えていきます。
働かなくても、人としての尊厳を守れるような生活ができるなら、待遇の悪い仕事、やりがいのない仕事、人のタメにならない仕事は、辞める人が増えるはずです。
やりがいのない仕事は「ムダ仕事」である可能性が高いです。ムダ仕事は少しずつ淘汰され、社会にとって必要な仕事だけが残っていきます。
無理して利益を上げなくても生活できるので、誰もが自分を取り戻し、家族や他人に優しくできる余裕が生まれます。
家族や他人に優しくできない人に苦しめられている場合でも、ベーシックインカムは個人支給なので、イジメ・毒親・DV夫などから逃げて生活するのが容易になります。
赤ちゃんにも支給されるので、経済的不安なく、産んで育てることができます。
趣味や芸術に没頭できるので、才能を開花させる人が増えるでしょう。
【BI死守ポイント】
・政府がお金を発行し
・まともな生活ができるだけの金額を
・個人単位で
・無審査無条件で
・定期支給する
BI死守ポイントすべてをクリアするベーシックインカム(BI)を導入すれば、社会問題の大半は解決されていき、一人ひとりの存在が肯定される、明るい社会を実現させることが可能となります。
国会議員に働きかけよう
政府貨幣による無条件ベーシックインカムは、一人ひとりの生活と命を守り、現行システムをより良く機能させながら、少しずつ社会に好ましい変化をもたらすであろう、素晴らしい制度です。
ただし、これを実現させるには「政令」を作る必要があります。
日本政府は今、硬貨しか発行できません。「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第七条によって、同じ硬貨は20枚までしか使用できないという制限も課されています。
500円硬貨20枚では1万円にしかならないので、国民に20万円というお金を、硬貨で配ることはできません。そもそも、重い硬貨を配るのは現実的とはいえません。
幸い、同法第六条には「貨幣の素材、品位、量目及び形式は、政令で定める。」と明記されています。「政令」さえ作れば、政府はデジタル数字を発行できるのです。
日本政府が、自らの貨幣発行権を発動させて「デジタル数字」を発行し、それを「コロナ10万円給付金」のごとく国民一人ひとりの口座に振り込むならば、国民負担ゼロ&増税不要の「ベーシックインカム政策」を即実現させられます。
「政令」とは、憲法及び法律の規定を実施するために内閣が制定する命令です。
「政府貨幣による無条件ベーシックインカム」を実現させるには、そのための「政令」を作るよう、政治家に働きかけていかねばなりません。
「政令」を作る権限を有しているのは内閣メンバーですが、彼らが所属する政党の政治家はもちろん、野党の政治家に働きかけることも必要です。
↓↓↓ 内閣メンバーリスト(2020年9月菅内閣)↓↓↓