住民投票とは
住民投票とは
特定の議案について、その地域の住民が賛成なのか反対なのかを、直接的な投票によって判断する制度。
国政レベルの事柄について住民投票は国民投票、県政レベルでは県民投票、市政、町政、村政では、それぞれ市民投票、町民投票、村民投票といわれる。
民主主義社会における住民投票の位置づけ
間接民主制=選挙 :一定の間だけ政治を委託する「人」に票を投じる
直接民主制=住民投票 :ある「議案」について賛成か反対かの票を投じる
選挙:人を選ぶ
住民投票:賛成か反対を選ぶ
主義と制度の関係性
憲法に「我が国は民主主義国家である」と明記されていても、民主主義を実行する「制度」が存在しなければ、民主主義を実行することはできない。
日本国憲法には「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と明記されている。
ところが国民が直接的に政治参加するための制度「住民投票」が不完全なために、主権在民を実現できないでいる。
住民発議=直接請求
住民が、ある事柄について住民投票を実施したいと思ったとき、住民自ら、一定期間内に、必要とされる数の法定署名(署名は法的要件を満たしていなければならない)を集めて提出し、住民投票を実施するよう請求することを「住民発議」または「直接請求」という。
不完全な住民投票制度とは
① 議会が「住民発議/直接請求」を却下できる
② 投票結果に拘束力がない
③ 拒否権投票がない
④ 国政については「住民発議権=直接請求権」がない
① 議会が「住民発議/直接請求」を却下できる
スイスでは、一定期間内に法定署名を集めさえすれば、住民投票は必ず実行される。
日本では、議会が「住民発議/直接請求」された住民投票を実施するかどうかを決議する。
過去、住民投票が実施された「住民発議/直接請求」は400件程だが、議会によって棄却され住民投票が実施できなかった「住民発議/直接請求」は600件にのぼる。
例えば、沖縄県石垣市では2019年、自衛隊基地配備の是非を問う「住民発議/直接請求」が、議会によって棄却されている。
石垣市民による直接請求を市議会が棄却した件は、上述の「日本国憲法には「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と明記されている。ところが国民が直接的に政治参加するための制度「住民投票」が不完全なために、主権在民を実現できないでいる。」という具体的事例のひとつです。
② 投票結果に拘束力がない
日本の住民投票は、投票結果に拘束力がないため、投票結果を反故にされることがある。
例えば、1996年に実施された沖縄県名護市の市民投票は、辺野古新基地建設反対という結果になったが、国は名護市民の民意を無視し基地建設が進められた。2019年には辺野古新基地の建設工事を止めるべきかどうかを問う県民投票が実施され、建設工事を止めることへの賛成が多いという結果になったが、建設工事は中断することなく進められている。
③ 拒否権投票がない
スイス国民には、議会にて可決された法案を、住民投票によって棄却する「拒否権」が認められている。
日本国民には「拒否権」がないので、悪法が作られたときに止める手段がない。
④ 国政については「住民発議権=直接請求権」がない
憲法改正など、国政にかかわる事案については、日本国民には「住民発議権=直接請求権」が認められていない。
住民投票の活用例
海外で、住民投票(州民投票)によって実現できた政策は沢山あります。
例えばアメリカでは
・州内での核実験の禁止
・州内での医療大麻合法化
などが実施されています。直接的に「議案」を発議・投票できる権利があれば、選挙によっては50年100年かかっても実現できないことが、3年で実現できる可能性があります。