画像引用元:埋め立てられる“民意” 辺野古の土砂投入から1週間 反対よそに国は工事加速 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
辺野古新基地建設問題。沖縄県と国との争いについては、沖縄県外の新聞で報道されることが少ないため、沖縄県外の人には、何が起きているのかわからないことばかりです。
ポイントは「基地建設に際しては、沖縄県が埋め立ての裁量権を持っている」ところにあります。
辺野古をめぐる訴訟の経緯
2015年10月 翁長知事「仲井真前知事が埋め立てを承認したこと」を取り消し
⇒ 国土交通省が「執行停止」を決定(承認取り消しを無効化)
⇒ 工事再開
2015年11月 ① 国が翁長知事の
「埋め立て承認取り消し」の「取消し」を求めて提訴
2015年12月 ② 翁長知事「執行停止」取り消し訴訟を起こす
2016年 3月 ①②の2つの訴訟で「和解」
2016年 3月 「和解」を受けて国地方係争処理委員会が審査
⇒ 国と沖縄県の協議解決が必要だと決定
2016年 7月 ③ 国土交通省が、国に従わない翁長知事を違法として、
福岡高裁那覇支部へ訴える
2016年9月 福岡高裁那覇支部は、国の主張を一方的に認定する判決を下す。
2016年12月 最高裁、福岡高裁判決をそのまま認める判決を下す。
①②③ の3つの訴訟が入り乱れているため理解しづらいですが、ポイントは「沖縄県が埋め立ての裁量権を持っている」ところにあります。
福岡高裁の判決の問題点
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
・審理の対象をすり替えている
・裁量行為を尊重していない
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
普天間基地問題を解決するための「辺野古」と言われますが、真喜志好一氏が分厚い英文資料から見つけ出した通り、そもそも「普天間基地問題」と「辺野古新基地建設」の間には関連性がありません。
「普天間基地問題」を解決するなら、「閉鎖するだけ」という選択肢もあるはずです。
・審理の対象をすり替えている
この裁判の目的は、翁長知事の承認取り消しの「違法性」を審理するものだったのに、福岡高裁は仲井真知事の承認に違法性はないと判断しただけで、翁長知事の行為の違法性は審理しませんでした。
・通常「裁量行為」は覆せない
承認や承認取り消しなどの行政処分には「裁量行為」と「非裁量行為」があり、通常、裁判所は「裁量行為」を尊重するそうです。
翁長知事の「埋め立て承認」という行政処分は、典型的な裁量行為なので、その判断は覆せないのが常だそうです。
参考資料
この判決が異常であるのは、行政法学者から「放置できない」という意見が噴出していることからみても明らかです。
「従来の行政法理論を逸脱するだけでなく、地方自治の憲法保障をまったく軽視したもので、研究者・法律実務家の良心に照らして、これを放置することはできない」
(辺野古訴訟 福岡高裁判決を問う)
まとめ
辺野古反対を公約として当選した翁長県知事みずから「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせない」と表明し、沖縄県知事が「裁量権」を有する「埋め立て」を取り消したのです。
沖縄県にも翁長県知事にも、何の落ち度もありません。
非があるのは、民主主義国であるにも関わらず、翁長県知事を訴える国と国土交通相であり、法治国家であるにも関わらず、行政法学者さえも呆れるような判決文を出す福岡高裁や最高裁のほうです。
大阪・堺市の議会では、沖縄県が反対する中で埋め立てが続く現状について、「国と地方自治体の間で起きる問題を処理する上で、あしき前例になる」として「国と沖縄県との誠実な対話を求める意見書」を、2018年12月20日、自民・公明両党を除く賛成多数で可決しました。
辺野古で起きていることを放置すれば、それは「悪しき前例」となって繰り返されることが、懸念される状況となっています。