住民発議による住民投票 & 無条件ベーシックインカム

CHダグラス『社会信用論』翻訳者・上岡みおが世界の賢人に学んだことをつづるブログ

辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問うた沖縄県民投票 Q&A

辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問うた沖縄県民投票 Q&A

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Q  直接請求権 (=住民発議 =イニシアチブ)

日本では、地方政治においては、住民の意思を政治に反映させられるように、直接請求権が認められています。直接請求権には、

(1)条例の制定や改廃を請求する権利 (住民発議、イニシアチブともいう)
(2)地方公共団体の事務の監査請求権
(3)地方議会の解散を請求する解散請求権
(4)地方公共団体の首長、議員、その他主な公務員の解職を請求する解職請求権(リコール)

があります。

2019年2月24日に実施された沖縄県民投票は、(1)に該当します。

(1)と(2)が成立する条件は有権者の50分の1の署名、(3)と(4)が成立するためには3分の1以上の署名が必要とされます。

国会がある特定の地方公共団体のみに適用する法律を制定する時は、当該地域の住民投票により、投票者の過半数の同意を得る必要があります。

 

Q  直接民主制と間接民主制

住民投票直接民主制、選挙は間接民主制です。

広い領土と多くの人口を擁し、利害関係が複雑多様になっている近代国家では、直接民主制によってすべての物事を決めることは困難であることから、多くの国々は、選挙によって代表者を選ぶ間接民主制を採用しています。

しかしながら、間接民主制では、選挙で選ばれた代表者(=議員)が、すべての課題について、その代表者(=議員)に投票した人と同意見になることはありえません。

ある地域を二分するような大きな問題が持ち上がったときに、間接民主制の欠陥を補完し、民意を直接的に反映させられる制度として、住民が直接意思表示できる直接民主制度(主として住民投票)が用意されています。

 

 

Q  住民投票の投票結果の法的拘束力

(3)地方議会の解散を請求する解散請求権
(4)地方公共団体の首長、議員、その他主な公務員の解職を請求する解職請求権(リコール)
の投票結果については、法的拘束力があります。

その一方で、2019年2月24日に実施された沖縄県民投票のように、(1)条例の制定(や改廃)を請求する住民投票は、法律ではなく条例を根拠としているため、法的拘束力がありません。

 

Q 沖縄県民投票の投票結果はどうなる?

このたびの沖縄県民投票は、「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立て」に対して、「賛成」「反対」「どちらでもない」を選択するものでした。

沖縄県民投票条例では「賛成・反対のいずれか多い数が、投票資格者総数の4分の1に達したときは、県知事は投票結果を尊重しなければならない」と定めらましたが、沖縄県は2018年8月に「埋立て承認」を撤回しています。

したがって、埋立て工事を推進している国が、県民投票結果を今後どのように取り扱うのかが、問われることになります。

 

Q 埋立て承認撤回とは

沖縄県は、仲井真弘多前知事による埋め立て承認を、2018年8月31日に撤回しました。これは、同年8月8日に逝去された翁長雄志知事が、生前に指示したことに基づいて行われたものです。

撤回理由として、
(1)埋立て予定地に軟弱地盤が存在していることが明らかになった
(2)サンゴなどの環境対策が十分ではない
(3)県との話し合いが不十分なまま工事を進めている
ことなどが挙げられています。

参考資料:沖縄県、埋め立て承認撤回 普天間基地の辺野古移設 :日本経済新聞

 

 市町村事務に要する経費について

市町村の事務の執行に要する経費については、地方財政法第28条の規定に基づいて、全額沖縄県が負担し、市町村に交付します。
市町村が実施する投票に関する事務の主なものは「名簿の調製」「投票の実施」「開票の実施」に係る事務があります。

参考資料:沖縄県|2.24県民投票公式サイト|2019年2月24日は県民投票です。

 

Q  全国の住民投票の実施状況について

市町村レベルでは、日本全国で市町村の統廃合等に関連する住民投票の実施事例は多数ありますが、都道府県レベルでは、沖縄県が22年前の1996年9月に実施した「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票」のみとなり、今回が2例目となります。


参考資料:沖縄県|2.24県民投票公式サイト|2019年2月24日は県民投票です。

 

 


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