上岡みおによる、グローバル・パスポートの翻訳(17ページ目)。
画像引用:Global Passport to Modern Direct Democracy | International IDEA
住民発議権とは
住民発議権は、国、州や県、そして市町村に対して政治的議題を提案する方法として認知されています。
EU諸国では、2012年に初めて、「欧州市民イニシアチブ(ECI)」が制定されました。
「欧州市民イニシアチブ(ECI)」では新法を提案することだけが許されており、投票は行われません。
オーストリア、ブラジル、フィンランド、モロッコ、スペイン、タイなど、新法を提案する権利すなわち「課題発議権」だけが認められている国も、数多く存在します。(図2参照)
図2 住民発議による住民投票と、課題発議権
画像引用:Global Passport to Modern Direct Democracy | International IDEA
■住民発議による住民投票が認められている国と地域:ドイツ、ハンガリー、リヒテンシュタイン、パラオ、サンマリノ、スロバキア、スイス、台湾、アメリカ合衆国
■課題発議権のみが認められている国と地域:オーストリア、ブルガリア、カナダ、コスタリカ、フィンランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、マルタ、マーシャル諸島、ミクロネシア、ニュージーランド、フィリピン、ポーランド、スペイン、スウェーデン、ウルグアイ
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上岡みおによる補足:
上岡みおが「住民発議による住民投票」にこだわる理由、ここまで読み進んでくると、合点いただけたのではないでしょうか。
そうなんです。上岡みおが「住民発議による住民投票」にこだわるのは、住民発議には、住民投票に進めるものと進めないものがあるからなんです。
当然ながら、住民投票に進めないタイプの住民発議権(=課題発議権)だけでは、不十分です。
政治に民意を反映させられるかどうかは、選出議員の裁量にゆだねられることになるわけですから。
真に民主的な制度は「住民発議による住民投票」です。
加えて、住民投票の結果は必ず実現させなければならないというルールも必要です。そうでなければ、ただの世論調査になってしまいます。
住民投票によって政治に民意を反映させるには、「住民発議による住民投票」であること、投票結果に拘束力があることの、2点が絶対要件となります。この2点が徹底されていなければ、直接民主制度としては不完全なのです。
20年前に行われた名護の市民投票では投票結果が反故にされ、以来20年以上にわたって座り込みが続けられています。
沖縄県内の辺野古基地反対派の人たちは、合法的手段によって新基地建設にノーをつきつけました。ところが、日本の住民投票制度の欠陥ゆえに、座り込まざるをえないところに追い込まれてしまったのです。