上岡みおによる、グローバル・パスポートの翻訳(18ページ目)。
画像引用:Global Passport to Modern Direct Democracy | International IDEA
住民発議権をめぐる取り組み
ウルグアイでは、有権者の10%の同意を得ることができれば、憲法修正案を発議することができます。
最終投票において、全有権者の35%の同意を得ることができれば、憲法修正案は可決されます。
2014年10月26日、逮捕年齢を18歳から16歳に引き下げようという憲法改正案が、住民発議によって提案されました。
この提案は、投票者の53%が反対したため否決されました。
(ウルグアイ選挙裁判所 2014年)
■スイス
スイスでは、18ヶ月以内に有権者の署名を10万筆以上集めると、連邦国憲法の改正を伴う議題を提案することができます。
その後の住民投票では、投票者の過半数はもちろん、26に及ぶ連邦州の過半数をも獲得しなければ、かかる議題は否決されてしまいます。
住民発議権は、すべての連邦「州(カントン)」の法律で認められている権利ですが、連邦「国家」に対しては発動させることができません。
2016年6月5日、すべての住民に対して無条件ベーシック・インカムを受給できる権利を与えようという憲法改正案が、全州にまたがる住民投票にかけられました。
投票者の約77%(投票率47%)が反対票を投じたため、この住民発議案は否決されました。
(スイス連邦事務局 2016年)
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上岡みおによる補足:
スイスの国民投票では
・投票者の過半数
・26に及ぶ連邦州の過半数
の両方を獲得しなければなりません。
投票者だけではなく、連邦州の支持をも得なければならない理由について、スイスのベーシックインカム国民投票を主導した、エノ・シュミットさんのお話を紹介します。
エノ・シュミットさんのお話:
スイス各州は自治意識がものすごく高くて中央政府の決定を嫌うんだ。
それは 険しい山々に隔てられ孤立せざるを得ない住環境によって育まれてきた意識であり、文化であり、(国際的な)協定なども、自治州独自に行うのが当たり前という感覚なんだ。
スイスが イタリア語 フランス語 ドイツ語 ロマンシュ語を用いる多言語国家である事も、自治意識を高める方向に作用しているね。
スイス人の誰もが公用語のすべてを話せるわけではないからね。
だけど同じであることが求められないというのは良いことだと思うんだ。
同じでないことによる 難しさもあるけどね。
それがスイスであり、スイス国民であるということだからさ。