住民発議による住民投票 & 無条件ベーシックインカム

CHダグラス『社会信用論』翻訳者・上岡みおが世界の賢人に学んだことをつづるブログ

ジェンダーとベーシックインカム

 

 

ジェンダー不平等とは

IDEAS FOR GOOD

 

ジェンダー不平等とは、社会的・文化的な性別(ジェンダー)にもとづく偏見や、男女の雇用・賃金格差といった経済的な不平等に関する問題を指します。

ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別(sex)に対し、社会的・文化的役割としての性別を意味します。男性・女性であることにより期待される役割はもちろん、性別による機会の違い、男女間の関係性などもジェンダーに含まれています。

たとえば、「料理や子供のお迎えは母親がするのが当たり前」「男は泣いてはいけない」「女性は男性をたてるべき」「リーダーはやっぱり男性がいい」といった社会通念により規定される性は、ジェンダーだと言えるでしょう。イギリスのロンドンでは、私たちが持つ無意識のジェンダーバイアス(性に基づく偏見)を問う広告が出されるなど、問題視されています。

 

ジェンダー不平等による問題

ジェンダー不平等はなぜ問題なのでしょうか。主な問題点としては下記が挙げられます。

  1. 政治・経済共に重要な意思決定への女性の参加率の低さ → これにより、一部の属性の人々により重要な決定がされること
  2. 男女の賃金格差
  3. ジェンダーと社会的役割に関する偏見(差別・マイクロアグレッションなどにつながる)
  4. セクハラ・モラハラ問題
  5. 男性優遇・女性優遇制度(“ピンク税”やレディースデーなど)

ジェンダー不平等が発生する原因は様々ですが、主な原因としては下記が挙げられます。

  • 宗教の決まり
  • 伝統的な社会構造・風習
  • 家庭内・家庭外での教育の欠如
  • 広告やTVなど、メディアによる「性の役割」の強調 → それが社会的に広がり人々の当たり前になり、ジェンダーバイアス(性に基づく偏見)につながる

これら基づいた考え方や行動が、ジェンダーの不平等や偏見を引き起こしています。

 

 

ジェンダーギャップ指数とはなにか

ベネッセ

 

ジェンダーギャップ指数とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が発表しているもので、各国における男女格差を測る指数の一つとなっています。2021年3月に発表された「The Global Gender Gap Report 2021」によれば、日本のジェンダーギャップ指数ランキングは、156か国中120位でした。

 

ジェンダーギャップ指数が低い=男女格差が大きい

Spaceship Earth

ジェンダーギャップ指数は、0〜1で評価されます。1を男女完全平等とし、0を男女完全不平等とするため、1に近い数値であるほど男女格差が小さく、0に近くなるほど男女格差が大きいことを示します。

 

2022年7月に発表された「ジェンダーギャップ指数2022年」によると、日本の総合スコアは0.650で146カ国中116位という位置付けでした。前年と比較すると順位は4つ上がったものの、決して良い数字とは言えない結果になっています。

ジェンダーギャップ指数2022年の日本の各分野の数値は下の通りです。

分野 スコア 順位
経済 0.564 121位
教育 1.000 1位
保健 0.973 63位
政治 0.061 139位

 

 

ジェンダーギャップ指数が低い日本の課題や原因は?

日本のジェンダーギャップ指数116位という結果は、G7諸国の中では最下位で、99位の韓国や102位の中国など、ASEAN諸国よりも低い結果となっています。日本のジェンダーギャップ指数が低い主な理由を3つ見ていきましょう。

女性管理職の割合が低い

日本の企業で女性管理職の割合が低いのは、多くの人がイメージできると思います。「ガラスの天井」という言葉が使われるように、能力や実績があっても「女性」という理由で昇進しにくいことがあるのです。

この背景には、女性は出産や育児で仕事を離れることになってしまう可能性や、またそれに対する制度が整っていないことが原因として挙げられます。実際に帝国データバンクの2020年の調査によると、女性管理職割合は平均7.8%と、前年より微増しているものの、非常に低い結果が出ています。

女性の政治参加割合が低い

筆者作成(参考:WEF

WEFの発表では、日本の女性の政治への参加率の低さが指摘されています。国会議員の女性の割合はわずか9.9%、大臣の女性の割合は10%に過ぎず、未だ政治は男性によって成り立っているといっても過言ではありません。

また、女性の政治参加率は国会だけでなく市町村議会における女性議員の割合にも現れています。女性議員の比率が20%を超える都道府県は東京を含む4都道府県のみで、残りの44都道府県では20%以下となっています。

理系学部に進学する女性が少ない

日本の教育分野のスコアは高いものの、他先進国と比べ順位は低い結果となっています。その理由に、大学進学率の男女差が挙げられます。男女共同参画局によると、大学(学部)への進学率は、女子48.2%、男子55.6%と男子の方が7.4%ポイント高くなっています。

また、日本では「男子の方が理系に向いている」というステレオタイプが浸透しており、理系学部に女性が少なくなり、大学や院への就学率が低くなる要因となっています。その結果、研究者数の女性の割合も全体の約12%ほどと低くなっています。

これらの差によって、日本の教育分野の順位が低くなっているのです。

 

 

男女格差ランキング120位は本当? 「女性が差別される国」日本で男より女の幸福感が高い皮肉

NewsWeek

 

「ジェンダーギャップ指数」の2021年報告書における順位は上述のように156カ国中120位であり、前回2019年報告書の121位(153カ国中)に引き続き、非常に低い順位だった。

ところが、国連開発計画「人間開発報告書」の2020年版における「ジェンダー不平等指数」では24位(162カ国中)となっており、女性差別社会とは言えない結果になっている。

世界経済フォーラムが出産リスクや寿命そのものはスルーして、健康の男女格差をこの2つの指標(「新生児の男女比率」「健康寿命の男女差」)で代表させるやり方に大きな疑問符をつけたい。

 

 

 

生活時間の国際比較 

内閣府 男女共同参画局

 

結婚や子供の有無を区別しない15~64歳の男女全体で見ると,我が国は諸外国と比較した場合

  • 以前は短かった女性の有償労働時間が伸び,男性も女性も有償労働時間が長いが,特に男性の有償労働時間は極端に長い。
  • 無償労働が女性に偏るという傾向が極端に強い。
  • 男女とも有償・無償をあわせた総労働時間が長く,時間的にはすでに限界まで「労働」している。

という特徴がある。

 

 

 

 

なぜ日本男子は世界で唯一、女性より幸福度が低くなるのか?

NewsWeek

 

日本のOECD諸国の対象31カ国における幸福度ランキングは、世界価値観調査の「幸福感」では20位と低いほうである一方で、ギャラップ世界調査を用いた「ネガティブ感情度」では5位と高いほうである。

 

世界のスタンダードは「女性・高齢・低学歴の者ほど幸福感が低い」というものだが、日本人は、これにすべて反している。日本は世界的に見て、特殊な国民であるということが見てとれる。

 

 


高齢者、低学歴者ほど幸福度が低いという通例が当てはまらない日本人

 

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「感情状態」から見た幸福度について、男女差、年齢差、学歴差を見る限り、日本人ほど"よい方向"に世界の常識が当てはまらない国民はいないのだといえよう。こうしたデータからは、日本は「奇跡の国」と見なされてもおかしくはないのである。

学歴による格差が幸福度の差に結びつかないようなメカニズム

日本は、中等教育卒業者のネガティブ感情度(「―」の数値)がメキシコに次いで低く、初等教育卒業者(「▲」の数値)の場合は最も低くなっている。そして、こうした状況によって学歴差が最も小さい国の一つである。また、初等教育卒業者のほうが高等教育卒業者(「●」の数値)よりネガティブ感情度が低いという国は日本だけである。

学歴と階級・職種・所得は密接に関係しており、これを背景に、世界ではネガティブ感情度は低学歴の者ほど高く、高学歴の者ほど低いというのがスタンダードである。ところが、ここでも日本は学歴の差が幸福度に比例しないという例外的な特徴をあらわしているのである。

理由としては、実際に学歴による所得や生活水準の格差が小さいからかもしれないし、あるいは、学歴による格差があってもそれが幸福度の差に結びつかないようなメカニズムが働いているからかもしれない。私は、年齢差の場合と同じように、日本の場合は、前者だけでなく後者の側面も大きいのではないかと考えている。

 

消極的に天命に安んじる態度には、我々は懐しみを覚えさせられる

高齢者のネガティブ感情度は最も低いほうから2番目である。高齢者のネガティブ感情度は、高福祉社会と言われる北欧諸国が世界で最も低く、それに伴って年齢差も最も低くなっているが、日本もこれに伍しているのである。

少なくとも感情の状態からは、日本は高福祉社会の域に十分達しているといえよう。しかも、日本の高齢人口の割合は世界でもっとも高い点を考慮すれば、よくやっていると評価せざるをえない。

もっとも日本の社会保障の充実度が北欧並みと考えるのは少し行き過ぎの見方かもしれない。むしろ、諦観という日本人の習性に理由を見出すべきなのかもしれない。

 

 

"世界で唯一"なぜ日本は女性よりも男性がネガティブな感情を抱くのか

日本では、相続や選挙権に関する制度的な男女平等が戦後実現したのと並行して、現代では、かつてに比べて儒教道徳から女性がかなり解放されたのに対して、男性のほうは「男は一家の大黒柱」あるいは「男はか弱い女性を守らなければならない」といったような旧い道徳観になお縛られていることが多いから、こうした結果が生じているのではないかと感じるが、どうだろうか。男は、男(自分)への期待感が大きい。それだけ幸福度を感じにくくなっているのである。

なお、同じような状況にある韓国でも(日本の男性ほどネガティブな感情を抱いていないが)、やはり、OECD諸国の中でネガティブ感情度の男女比が3位と高い点もこの点を裏づけていると考えられる。

世界的に権威があるはずの「OECD幸福度白書」のこのデータを日本のジェンダー論者が参照することは、まず、ないだろう。しかし、男性が幸福になれなければ女性も幸福になれないと仮定した場合、図表2で客観的に表した深い真実を直視しない限り、日本における本当の男女平等は永遠に実現できないかもしれない。

 

 

日本における平均労働時間の長さと残業代未払い問題

CLOUZA

日本人は、年間1710時間働いており、日本のランキングは世界と比較しても38か国中22位とそれほど高い訳ではない結果が出ています。
日本の働く労働時間は改善されているとデータ上は言えるのかもしれません。
しかし、これが本当かどうかは定かではありません。
なぜなら、日本は「サービス残業」という文化があるためです。

>>世界の労働時間ランキング‐日本は世界で22位と労働時間はそれほど長くない?

 

サービス残業とは?

サービス残業とは、「雇用契約で決められた労働時間外の労働時間に対して賃金が支払われない労働のこと」を指します。
企業がサービス残業を強いることは、労働基準法に違反する行為です。 「定時が過ぎても仕事が終わるまで帰らせてもらえない、残業代もつかない」、「朝礼のために定時より前に出社」というサービス残業の経験がある人も多いのではないでしょうか。
サービス残業は記録に残らない分、なかなか実態を把握しにくい違法労動です。
2014年に日本労働組合総合連合会が3000人に行ったアンケート調査で、サービス残業の有無を確認したところ、「ある」が42.6%、「ない」が57.4%という結果になっています。
実に4割以上の従業員がサービス残業を行っていることが判明しています。
また、同調査では、1ヶ月の平均的なサービス残業は16.7時間です。
10時間未満が59.7%、10時間から20時間未満が16.8%との結果が出ています。
調査には正規従業員、非正規従業員、一般社員から課長クラスまで含まれており、それぞれの平均時間は異なります。
例えば役職別に平均時間をみると、一般社員は18.6時間、主任クラスは19.6時間、係長クラスは17.5時間、課長クラス以上は28.0時間になります。
役職が上がるほど、残業時間も長くなるという結果です。
役職が上がるにつれて責任も増すせいか、サービス残業が増えてしまう傾向にあるようです。
>>なぜ無くならない?サービス残業の実態と、自分の身を守る3つの方法
>>日本労働組合総連合会「労働時間に関する調査」

 

サービス残業が発生する理由

サービス残業が発生する理由は、主に会社側の事情が大きいかもしれません。
主に「法令順守意識の低さ」、「コストカット」の2つが挙げられます。

1.法令順守意識の低さ
会社の経営者や人事の担当者が労働基準法の知識が乏しい場合、社員にサービス残業をさせてしまいがちです。
サービス残業をさせることは法律違反だということに対し、意識がまだ低いようです。
そして名ばかり管理職のように拡大解釈をすることでサービス残業を正当化している会社も少なくない実態があるかもしれません。
2.コストカット
不景気になったり業績が悪化したりすると会社側はまず人件費のコストカットを考えます。
ここで業務の効率化がはかられ、少ない人数でも業務を回せるようになれば良いのですが、大体の会社は人員の削減を行なったとしても全体の業務量が減ることはあまりないため、単純に一人一人の仕事量が増えるだけのことが多いようです。