画像:日本経済新聞 東京都 夢の島海水浴場
東京都江東区 夢の島
1947年 海水浴場
1957年 ゴミの埋め立て処分場
・生ゴミなども燃やさずにそのまま投棄
・東京で出たゴミの7割が江東区に集まった
・毎日5000台の収集車が行き交い、夢の島はあっというまにゴミで覆われ、江東区内では渋滞や交通事故が多発し、収集車から道路へとこぼれた生ゴミや汚汁が悪臭を発生させ、夢の島からやってきたハエやネズミが住民の生活をおびやかした。
・ありとあらゆるものにハエが群がり、小学校では授業もままならなくなった。夢の島は「ゴミの島」や「ハエの天国」として広く知られるようになった。
1965年 夢の島焦土作戦
・東京都はヘリコプターでの殺虫剤の散布などを行っていたが効果はなく、ついに消防隊に要請し、重油を撒いて夢の島一帯のゴミを焼き払う「夢の島焦土作戦」が決行された。
・2万個の毒団子によるネズミの殲滅作戦も行われた。
1966年 夢の島はゴミの埋立地としての役目を終える。
画像:夢の島公園
東京ゴミ戦争
東京都知事は「ゴミ戦争」を宣言し、各区で発生したごみは区内で処分するよう、ごみの焼却処分を行う清掃工場の建設を約束。今日まで続くゴミ問題が広く知れ渡るきっかけになった。
画像:夢の島公園
1974年 夢の島に清掃工場
夢の島は公園化され、その中に清掃工場の余熱を利用した温室、体育館、水泳場、競技場、野球場、マリーナなどが建設されていった。
画像:株式会社グリーバル 夢の島熱帯植物館・夢の島公園
画像:東京夢の島マリーナ
ゴミの総排出量
日本国内のゴミ排出量は、2000年をピークに年々減少しています。
画像:環境省
ゴミ処理費用の推移
日本国内のゴミ排出量は、2000年をピークに年々減少していますが、ゴミ処理費用は年々増加しています。
画像:ヤフーニュース 日本のごみは東京ドーム115杯!税金2兆円を使い半分は食べ物(食品ロス)
1997年 容器包装リサイクル法
容器包装リサイクル法とは、家庭から排出されるごみの重量の約2~3割、容積で約6割を占める容器包装廃棄物について、リサイクルの促進等により、廃棄物の減量化を図るとともに、資源の有効利用を図るため、平成9年(1997年)4月から本格施行された法律です。
(法律の所管は、環境省、経済産業省、財務省、厚生労働省及び農林水産省の5省共管。)
背 景: 廃棄物の排出量の増大と最終処分場のひっ迫~
仕組み: 消費者が分別排出、市町村が分別収集、事業者がリサイクル
対 象: 商品の容器包装で、商品が消費等された場合不要になるもの
成 果: 分別収集量、リサイクル率の増加と最終処分場の延命化
課 題: 高止まる一般廃棄物排出量、社会的コストの増加
法改正: 3Rの推進、社会的コストの効率化、関係者の連携
特定事業者とは リサイクル義務とは
容器包装(商品の容器及び包装自体が有償である場合を含む。)を利用して商品を販売する事業者や、容器を製造・輸入する事業者は、特定事業者としてリサイクル義務を負います。
リサイクル義務を履行する方法として、指定法人((財)日本容器包装リサイクル協会)が、特定事業者からの委託を受けてリサイクルを実施しており、特定事業者は、この協会に委託料を支払うことにより、リサイクル義務を果たしたものとみなされます。
ペットボトルの急増
容器包装リサイクル法が施行された1997年以降、ペットボトルの生産量が飛躍的に増えていきました。
出典:日本における PET ボトルのリサイクルシステムの成立と変容
1997年まで、全国清涼飲料工業会は、1L未満のボトル飲料の生産・販売を自粛していたため、清涼飲料向け容器市場はそれほど拡大しなかった。
1997年、容器包装リサイクル法(容リ法)の施行と小型 PET ボトルの自主規制解禁が「容器のワンウェイ化」 と「大量廃棄問題」を引き起こした。飲料・容器業界では想定されていた事態であり「容器のワンウェイ化」による「大量廃棄問題」を「大量リサイクル」という手段をもって克服しようとしたのが日本における PET ボトルのリサイクルシステムである。
ペットボトルの年間生産量は、1990年頃には10万トンほどでしたが、2015年には年間70万トンになりました。しかし、リサイクルされているペットボトルは20万トンに届きません。
リサイクル用途は、繊維とシートに大別されます。
リサイクル事業の変容① プラごみの国外流出
ゴミのリサイクル事業費用は
・事業者負担(=消費者負担)
・自治体負担(=納税者負担)
・使用者負担(=分別作業負担)
事業者・自治体・使用者が負担することを前提に構築されました。
ところが、世界の工場となった中国では、繊維産業の材料不足にあえぐようになり、プラスチックごみを繊維原料として輸入しはじめたため、自治体も事業者もプラスチックごみを中国へ輸出して現金化するようになっていきました。
当時の中国は石油化学工業の国産化体制が未成熟であり、PET の調達手段としてバージン材料や PETボトルの輸入に頼らざるを得なかった。なかでも日本の PET ボトルは輸送コストが低く高品位なことから、リサイクル工程の単純化や高い歩留まりが期待される高級な資源であった 。
日本から中国への PETくずの輸出は,当初は自治体回収ルートとは異なる事業系回収ルートを中心に行われたが、次第に自治体もその財政的軽減を目的に販売・輸出するようになった。
画像:The Telegraph 2018.1.1
帝人「ボトルto ボトル」撤退 海外流出で ペット再生窮地に マテリアルも破綻相次ぐ
帝人は世界に先駆けてケミカルリサイクルによるペットボトル再生事業に取り組んできたが、ペットボトルの中国などへの海外流出で日本容器包装リサイクル協会が運営する指定法人ルートに持ち込まれる量がここ数年減少傾向にあり、量の確保が困難な状態で今年度は落札できなかった。こうした状況から休止を決断した。
依然としてペットボトルの海外流出が続いていることから、マテリアルリサイクルを行う事業者の中にも経営破たんするところが相次いでおり、リサイクルシステム全体が深刻な事態となっている。
環境新聞 2008.10.8
リサイクル事業の変容② チャイナショック
2017年末、プラスチックごみの輸入大国だった中国が、「海外からのゴミの輸入を厳しく禁じる」(李克強首相)と、受入れストップに転じました。
画像:映画 プラスチック・チャイナ
中国が海外から輸入していた廃棄物には多くの汚染物質が混入しており、中国国内では深刻な環境汚染に対する反対の声が高まっていた。また、中国自体も経済成長に伴い国内廃棄物の排出量が増加してきており、国内リサイクル産業育成・成熟が求められてきていたことが、廃棄物輸入停止の方針となって現れたとされる。
Science Portal China 2019年1月29日
中国の、ゴミ輸入ストップ宣言はチャイナショックといわれ、世界各国に衝撃をもって受け取られました。チャイナショックによって、今まで中国にゴミを輸出してきた国々は、自国内で発生したゴミは自国で処理しなくてはならないという、当たり前の課題に向き合わざるを得なくなりました。
清涼飲料業界の取り組み
軽量化とは
清涼飲料水業界では、ペットボトルの重量を軽くする取り組み「軽量化=リデュース」が進められています。
画像:キリンホールディングス
軽量化によってゴミの総量を減らせるのなら良いのですが、ペットボトルの総生産量は、重さベースで増え続けています。リサイクルに回されているのは、全体の25%ほどしかありません。
軽量化(リデュース)のおかげで、ペットボトル生産量は少しばかり減っていますが、自治体の回収量は減っていません。
出典:環境省
1997年まで、全国清涼飲料工業会は、1L未満のボトル飲料の生産・販売を自粛していたため、清涼飲料向け容器市場はそれほど拡大しなかった。
1997年、容器包装リサイクル法(容リ法)の施行と小型 PET ボトルの自主規制解禁が「容器のワンウェイ化」 と「大量廃棄問題」を引き起こした。飲料・容器業界では想定されていた事態であり「容器のワンウェイ化」による「大量廃棄問題」を「大量リサイクル」という手段をもって克服しようとしたのが日本における PET ボトルのリサイクルシステムである。
ボトルtoボトル
ペットボトルはゴミ?油田?
ベルトコンベアに乗って絶え間なく流れるペットボトルを、センサーが監視し、カラーボトルや金属などの異物が混じったものを瞬時にはじきだす。コンベアの最終段階では、人間が目を光らせ、手作業で異物を取り除く。
ここまでの工程を通過したボトルは、粉砕され、フレーク状になったあと、風圧でラベルなどを除去し、洗浄工程に回る。
再生資源化には、徹底的に選別して単一素材にし、さらに、不純物を取り除くことが重要なのだ。
廃PETボトルからプラスチック製品
合成繊維生産量は20年で8倍に
世界人口
2000年 61億人
2020年 78億人
合成繊維の生産量
2000年から2020年の間に8倍
大量生産・大量廃棄 ➢ 地球環境崩壊
洋服の墓場
例えばガーナでは、輸入衣料の4割が埋め立てられています。そして、化学繊維が海洋生物を脅かしています。
出典:BBC Fast fashion: The dumping ground for unwanted clothes
ゴミか油田か
プラスチックゴミを石油に戻す装置を開発。世界が驚き
温度を400度に熱することで、プラスチックに含まれている石油が気体に変わる。それが配管を通って水で冷やされると、再び石油に戻るという仕組みだ。1kgのプラスチックゴミから、1.1リットルの石油を生み出すことができる。この技術は世界中で注目され、日本の技術力の高さに驚嘆の声が生まれている。
livedoor NEWS 2016.2.17
ガラス瓶のリユース
環境省は、ペットボトルを分別・回収・再加工するよりガラス瓶を洗浄して繰り返し使用するほうが、コストも環境負荷も低いことを把握しているようです。
出典:環境省 瓶リユースに関する環境負荷影響評価(既往研究調査の整理)
もっとも効果的な3Rとは
3R(リデュース・リサイクル・リユース)を進めるにあたって、何よりも大切なのは、プラスチックの総生産量を減らし、リユースできるガラス瓶に戻していくことなのではないでしょうか。
ゴミ焼却施設が増えすぎてゴミが足りない
・ゴミが少ないとダイオキシン類が発生しやすくなる
・ゴミが足りず、休止することになったゴミ焼却施設が増えている
最終処分場(埋立地)は2040年に枯渇する
・2040年にはゴミを埋め立てるための最終処分場(埋立地)が失われる。
・日本では、年間に4274万トン(東京ドーム約115杯分)、1人1日当たり918gのゴミ(一般廃棄物)が出ている。
・日本の焼却炉数は1067で世界第一位、焼却率も世界ダントツ一位77%。
(cf 焼却率2位ノルウェー57%、3位デンマーク54%)
・日本は、ゴミを燃やして最小限の大きさにしてから埋め立てるという発想の国・日本のリサイクルやコンポスト(堆肥にする処理方法)率は低く、先進国(OECD)の平均が34%のところ、20%未満にとどまっている。
SDGsマガジン 2021.6.10
質の良いものを必要なだけ
質の良いものを長く
3R:Reduce Recycle Reuse