住民発議による住民投票 & 無条件ベーシックインカム

CHダグラス『社会信用論』翻訳者・上岡みおが世界の賢人に学んだことをつづるブログ

岩波『住民投票』著者 今井一さんにきく 沖縄は基地負担すべき?

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2018年12月12日、琉球大学で開催された今井一さんの講演会。

安保条約が関わってくる県民投票について、今井さんのお考えをうかがったところ、またまた痛快極まりないお話が展開されていきました。

 

 


保条約と県民&国民投票

安保条約がかかわってくる県民投票についての、今井一さんのご意見。

安保条約や基地問題に関することは、沖縄県だけで具現化するのはムリです。東京、大阪、全国の人を巻き込んでいくしかないです。

今、8割の人が安保条約賛成派です。国民投票やったら、8対2で可決されて終わりです。

ただし、ルールを決めておいて、都道府県ごとに開票して、日米安保条約の賛成率が高い順に基地を受け持つとかね。

そうしないと、「日米安保賛成だよ。でも基地は沖縄ね。」じゃ、何の葛藤もない。

でも、賛成率が高いところが基地受け持つとなったら、相当考えるよね。

そういう国民投票、実はやろうと思ったらやれるんです。

今、憲法改正国民投票しかないから、それしかできないと思ってるけど、違うんです。

どんな国民投票でも、国民投票法を制定したら、諮問型だけでもできるんです。

例えば国会が、賛成率が高いところが基地を受け持つというルールの「2020年日米安保国民投票法」を、過半数の賛成で制定すれば、できます。

 

 

縄県に基地が置かれる理由

沖縄県に基地が置かれる理由について、2016年9月に福岡高裁が出した「辺野古違法確認訴訟 判決(要旨)」を確認してみましょう。


1)沖縄の地理的優位性

2)海兵隊の一体的運用について

3)普天間飛行場の返還と本件新施設等との関係について

4)普天間飛行場による騒音被害や危険性の原因と対策

 
1)沖縄の地理的優位性 

 

北朝鮮保有する弾道ミサイルのうち、沖縄はノドンの射程外。
・南西諸島は、わが国の海上輸送交通路に沿う位置にあり、沖縄本島はその中央にある。

 

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出典:アングル:北朝鮮ミサイルが日本上空通過、その時何が起きたか | ロイター


沖縄はノドンの射程外かもしれませんが、ミサイルの射程内であることが、2017年8月に北朝鮮が行ったミサイル実験によって明らかになっています。

海上交通という点ですが、そもそも日本は島国です。沖縄以外にも海上交通の利がある場所は山のようにあります。

 

2)海兵隊の一体的運用について 

翁長知事は、沖縄は米軍主力基地の佐世保から遠いことを指摘されていました。佐世保から空母到着するには時間がかかるので、沖縄に地理的優位性はないと。

これを、福岡高裁は、「海上阻止行動、対テロ作戦や安定化作戦、平時における人道支援·災害救助、敵地における偵察・監視、人質の奪還等の特殊作戦や危機発生時の民間人救出活動も任務としている。」と退けました。

 

>>>海上阻止行動 

尖閣諸島情勢に関するQ&A | 外務省にはこう書かれています。


米国は,日米安全保障条約第5条の適用に関し,尖閣諸島は1972年の沖縄返還の一環として返還されて以降,日本国政府の施政の下にあり,日米安全保障条約尖閣諸島にも適用されるとの見解を明確にしています。

そのわりに、在沖縄米軍は、海上阻止行動はしてくれないみたいです・・・

www.sankei.com

 

>>>平時における人道支援·災害救助

2011年東日本大震災では「偶然」福島沖にいた空母「ロナルド・レーガン」がトモダチ作戦を展開してくれましたが、沖縄に基地があることとは無関係です。

その後、トモダチ作戦に従事した空母「ロナルド・レーガン」の乗組員8名が、福島第一原子力発電所事故に関する正確な情報を得られずに被曝したとして、東京電力に総額1億1000万ドル(約94億円)の損害賠償などを求める訴訟を米連邦地裁に起こしています。

東京電力ではなく、出動命令を出したアメリカ海軍を訴えるべき話のような気もします。笑えるのは、トモダチ作戦にかかった費用は、後で日本に請求されたことです。アメリカ軍に助けてもらうと本当に高くつきます。

その後の災害時に、在日米軍が物資を運んでくれた実績はあるものの、本島から遠い沖縄に地の利はありません。

 

 >>>人質の奪還等の特殊作戦

 人質奪還って・・・。政府が認定している拉致被害者を、在沖縄米軍が救出してはくれませんよね?

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出典:【拉致から40年 救出への道筋】酷暑の中で地道な努力続ける家族たち 「拉致問題の『解決』を決めるのは家族」(1/5ページ) - 産経ニュース

 

3)普天間飛行場の返還と本件新施設等との関係について

福岡高裁は、

「1996年に日米間でされた普天間飛行場の返還合意は、ヘリポート建設が前提とされている」としつつも

海兵隊全体が沖縄に駐留する必要がなくなれば辺野古基地もキャンプ・シュワブも必要がなくなり、返還されることになるはずだ。」

と明言しています。
1)と2)を考え合わせると、米軍基地が沖縄にある必要性はないのですから、辺野古は建設中であっても、返還すればいいだけの話です。

民意を無視するのは憲法違反です。

 

4)普天間飛行場による騒音被害や危険性の原因と対策

1)と2)を考え合わせると、米軍基地が沖縄にある必要性はないのですから、普天間飛行場周辺の騒音被害や危険性を除去するためには、閉鎖すればいいだけの話です。

 

保条約を支持する人が応分負担する

行政法学者の方たちも、福岡高裁の判決文を

「従来の行政法理論を逸脱するだけでなく、地方自治憲法保障をまったく軽視したもので、研究者・法律実務家の良心に照らして、これを放置することはできない」

と表明しています。
辺野古訴訟 福岡高裁判決を問う

沖縄県が過分な基地負担を強いられる必要がないのは明らかです。

今井さんの「安全保障条約支持と応分負担をセットにした国民投票をすべき」というと提案を、おおいに支持したいと思います。


 


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